アメコミのスーパーマンは決して人は殺さないのにANIMEのケンシロウは殺しまくりなのはなぜ:再考
質問
ハロー、ジョン。日本のAskJohn読者が皆、先日の「アメコミのスーパーマンは決して人は殺さないのにANIMEのケンシロウは殺しまくりなのはなぜ」にぶち切れ状態です。そこで野蛮なサムライの国から質問します。米国人はどうしてコミックスのスーパーヒーローによる殺生を嫌がるのでしょうか。ブルース・ウィリスやハリソン・フォードはドイツ人テロリストやアラブ人のチンピラ相手にばたばた殺しているし、「俺が掟だ!」とか「抜けよ、相手になってやるぜ」と乱暴な啖呵をきる私立探偵や刑事はやんやとはやし立てるのに。コミックスのヒーローには不殺を要求しておきながら、現実には銃規制もろくにしないで毎年ハイスクールやカレッジで無差別殺人が起きています。これは偽善ではないのですか。
問題の質問には、スーパーマンと違ってケンシロウは悪人をばたばた殺していくのはなぜかとありました。英語圏の人間にはショッキングなANIMEだろうとは思いますが、あの番組は日本では子ども達にとっては非常に笑える――笑える!――大人気作でした。当時の男の子達は誰もがケンシロウをまねて「あーったたたたたた!」と叫んで遊んでいたのを思い出します。あの子達にとってケンシロウのあのど派手なアクションは『トムとジェリー』でトムがしょっちゅう散弾銃で胴体を蜂の巣にされるのと同じ類のギャグでした。思うに米国のANIME・MANGAファンは日本のマンザイ芸の基本形をよく知らないのではないでしょうか。いわゆるボケとツッコミです(『あずまんが大王』のともとよみは典型的なボケ&ツッコミ)。実際、『北斗の拳』の作者コンビはケンシロウをツッコミ、悪党どもをボケに設定して描いていたと語っています。つまりケンシロウの行為を江戸時代のサムライのキリステゴメンになぞらえて論ずるのはおかしいわけです(正直申し上げて『北斗』を論ずるのならむしろ『マッドマックス』や『ランボー』と比較してほしかった!)。もうひとつ指摘すると、キリステゴメンは実際にはまず行われなかった点を挙げたいと思います。下級身分の人間を殺したとして、その行為がお上によって有罪とされる可能性がありました(殺生後は役所に届け出なくてはいけない)。もし正当とされなかった場合、そのサムライは自害しなくてはいけないのです。結果としてこの掟はサムライに殺生を戒める効果、それから下級身分の人間にサムライを敬わせる効果があったわけです。
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