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2006年10月12日 (木)

『ぼくのぴこ』は米国ではヤバいでしょうか

質問

『ぼくのぴこ』は印象的です。あれは女性向けのYAOIとしてではなく、男性向けのSHOTAKONものとして作られています。米国のANIMEファンはどんな反応をすると思いますか。日本よりもジョン様のお国でよく売れるに違いないと個人的には考えています。なぜって、日本製の成人ANIMEは当のHENTAI産出国よりむしろ海外市場のほうで需要や消費が大きいと聞いています。しかしながら、米国では発売される可能性は言うまでもなく非常に薄いうえに、所持するのみで逮捕されかねません。もし発売されれば大いに売れると思うのですが、あれの配給権を日本から買い入れるような度胸のある業者があるのか、興味があります。

回答

ああいう短くて単純な話のANIMEであるのに、『ぼくのぴこ』については実にたくさんの語るべきことがあって圧倒されます。

このポルノANIMEは真のSHOTA系YAOIです。この種のANIMEとしては前例があります。というのは、数年前にファン制作によるSHOTA系YAOIのSFものが作られているはずです。でも、『ぼくのぴこ』は自主制作ではない商業作品としてはYAOI系SHOTAものの第一号のようです。文字通りのYAOI系SHOTAと呼べる作品なのです。なにしろ女の子にみえる思春期の少年をある若者がたぶらかすという話です。

純正YAOIはどれもそうなのですが、第一話はあまり突っ込んだものや深いものにはなりません。ホモの性交を描くことに主眼があって、物語はただの添え物です。YAOIものへの人気がわが国でも高まるなか、類を見ないこの作品は映像技術的にも良くできているので、あるいは米国でも大いに売れることが期待できます。しかし皮肉なことに、これこそがネックとなってわが国での発売はおそらくないと思います。

『ぼくのぴこ』は著名な人たちが参加している作品です。キャラクター・デザイン原案が有名同人サークルの彩画堂、キャラ・デザをまとめたのは『バイブルブラック』のよし天、脚本は『鋼の錬金術師』『機神咆吼デモンベイン』『ストラトスフォー』の高山かつひこ、監督が『学園アリス』『ヒカルの碁』『ガンダムSEED』の演出で知られる谷田部勝義、プロデューサーは、これまでに成人ANIMEをいくつも手がけてきた「GOLDENBOY」の愛称で知られる金子政路です。

この面子の才能は、ぴこの傑出して魅力的なデザイン、みずみずしくて柔らかくも暖かな色合い、それに作画がとても滑らかなことからも窺えます。物語自体は最小限のものに留められていますが、各キャラの性格づけやリアクションぶりは興味深いものです。主人公の青年タモツは、ぴこのことを自分の欲望を満たすための玩具か便利な道具としてしか扱わないでいます。

タモツはぴこが男の子だと知ってはいるのですが、この子の股間にあるものを実際に目のあたりにして彼はいくらか衝撃を受け、驚く様子をみせます。そのうえ女の子の衣装をぴこに着せることから、タモツはぴこのことを一人の人間としてではなく性的愛玩物とみなしていることが分かります。タモツとの関係がまったくの肉体的なものであることを当人は理解しているようですが、彼には他に友はおらず、結局はタモツとの関係に屈し受け入れてしまうのです。

第一話を通して、セックスをけしかけるのは常にタモツの側ですが、ぴこは積極的にそれを受け入れます。脚本に少々難があって、具体的に言うと、ぴこが年上の男と交わるのは自分の意思なのか、それとも強制的に行為に同意させられているのか、それがはっきりしないままです。どちらであれ、ふたりのセックスは同意のうえのものであり、そして互いに満足のいくものとして描かれています。

『ぼくのびこ』で描かれるセックスは非常に繊細で官能的、そしてロマンチックですが、そういうところはYAOI系の『センシティブ・ポルノグラフ』に通じるものがあるし、今日日の平均的な異性間HENTAIものとは対極にある作品です。いろいろ人騒がせな内容のOVAですが、今私に思いつく異性系ポルノANIMEのどれに較べても、『ぼくのぴこ』はずっと洗練されていて優美な作品です。

『ぼくのぴこ』は第二作が来年三月に発売予定されていることから、日本では人気が高かったようです。この第二作にはもう一人、ちこより年下の男の子が登場するとか。わが国のANIMEファンの間ではHENTAIのファンサブは比較的流通数がすくないのですが、『ぴこ』については三種類は出回っています。

成人ものですと、ファンサブ翻訳がされることのほうが珍しいのですが、ひとつの成人ANIME作品に複数のファン字幕版が作られるほど注目を集めているということは、その作品が非常にユニークで特別なものであることを示しています。『ぼくのぴこ』について米国のANIMEファン達が活発に論じ合っているところには出くわしたことがありませんが、ファンサブが複数作られたということは、ANIMEファンの内輪ではそれなりに関心が高いということです。

YAOI系MANGAやANIMEの人気がゆっくりと高まっていることを考えると、『ぼくのぴこ』のような高品質作品であれば普通は米国市場で売れることでしょう。しかしながら、これのSHOTA的なところが色々問題視されるおそれがあります。私自身はSHOTAもYAOIも趣味ではないし、『闇の末裔』『グラビテーション』等のマイルドなSHOUNEN-AIものも好みではありません。

でも、ANIMEであればどういう種類やジャンルのものでも受け付けるのが私の主義です。『ぴこ』がわが国で正式に発売となれば、ANIMEが物語性を重んじる多様かつ高度な映画ジャンルであることを理解してもらう大きな力になるのでは、とは思います。その反面、ジャパニーズ・アニメーションは米国の倫理観・法秩序を脅かす非道徳で有害な代物であるという主張を裏付ける証拠とされてしまいかねません。

ここで話が脱線して恐縮なのですが、ANIMEは創造性を重んじるものであり、言論と表現の自由を謳う米国憲法の元、尊重されてしかるべきものだというのが私の信念です。SHOTAやLOLICONは児童虐待を煽るという声が聞こえてきそうですが、仮想の作品に影響されやすい人々については、そういう影響を及ぼすような作品に触れさせないようにするべきだと思います。

責めるべきは実際に罪を犯した人間であり、作品そのものにはもともと罪はないのです。『ぼくのぴこ』はアニメーションによる仮想の物語です。それ自体は有害でも危険でもないし、危険物として作られたものでもありません。理性と誠実さを備えた成人向けの娯楽作品です。

メディア・ブラスターズ社はYAOI系ANIMEをいくつか日本より買い入れています。『快楽の方程式 LEVEL-C』『センシティブ・ポルノグラフ』、等。おそらくペドもののポルノANIMEに分類される『KITE』についてはノーカットで発売しています。アダルト・ソース・メディア社からは『大悪司 番外編』が、セントラル・パーク・メディア社からは『魔法少女メルル』が発売されていますが、どちらの作品もペドANIMEと呼ばれかねないものです。

しかし、これらの作品がわが国であれこれ問題視されたり騒動を起こしたりしたことはありません。(訳注) メディア・ブラスターズ社は今のところYAOI系ANIMEを一番たくさん手がけている業者ですので、『ぼくのぴこ』を米国で発売する会社が現れるとしたら、ここだと思います。ポルノANIMEをたくさん手がけている比較的新顔のANIME配給業者はいくつもあります。アダルト・ソース・メディア社、アモーズ社、ジャパンアニメ社など、『ぼくのぴこ』の北米版を手がけて当ててみせるかもしれない業者が思い浮かびます。

しかしながら、実際に発売される可能性については断言しかねます。理論的に考えて、現在わが国で出回っているANIMEに較べて『ぼくのぴこ』は一線を越えているのかというと、現実にはそれほど極端なものではないと思います。『ぼくのぴこ』のようなANIMEを米国内で配給したり所持したりしても、国から法的にとがめられることはないはずです。でも、法的に危険なところがどうしても残るのです。

実際に発売した場合に起きる恐れのある(実際にはその可能性はきわめて低いと思うのですが)騒動や非難をあえて覚悟するに値するだけの利益が見込めるかどうか、それをどの業者も考慮する必要がでてきます。『ぼくのぴこ』のような作品については、米国側業者の多くは手を出そうともしないはずです。

しかし、過去にタブーに挑んだ業者はいくつもありますし、北米版をあえて手がけようというアングラな業者もまた存在します。『ぼくのぴこ』の北米発売の見込みはあまりないと言わざるをえないのですが、それでももしどこかの業者が将来権利を獲得したとしても、驚くことではないと思います。

Could Boku no Pico be Released in America?

訳注 今年9月、スペインで深夜枠放映されていた『大悪司』が槍玉に挙げられて放映を中止した事件があったという。http://anime.geocities.yahoo.co.jp/gl/daiakuji_44543f

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受信: 2006年10月13日 (金) 21時17分

コメント

ブラックラグーンを見た後にこの記事を読むと気が沈みますね。

投稿 木村 | 2006年10月13日 (金) 05時10分

アニメに関して真剣に議論してんのは海外のファンの方だよなw

投稿 | 2006年10月13日 (金) 08時36分

エロアニメなんだから小難しい理屈並べないでヌけるか否かで語るのがスジってもんだ。
ちなみにぴこは日本の真性ショタの諸兄には今一つ評判が良くなかったようだ
(ぴこが女の子にしか見えないからと言う理由で)

投稿 | 2006年10月13日 (金) 09時48分

魔法少女メルルってこれですか><
http://homepage1.nifty.com/nisitoku/html/video_jacket/jacket%81Qmerur.html

(これは知りませんでした。でも、ジョンが触れているのは下のものだと思います。 - CC
http://www.animenewsnetwork.com/encyclopedia/anime.php?id=286)

投稿 | 2006年10月13日 (金) 09時50分

いやすげーなぁw
俺だったらこのアニメについて、こんな堂々と筋立てて意志を持って語れないわぁw

投稿 saba | 2006年10月13日 (金) 13時18分

メルルって実写物あったんか、知らんかった
アメリカ人が「大蛇丸がドロシーをレイプする作品」だと知ったら、
どんな反応示すかなぁ・・・

投稿 | 2006年10月13日 (金) 14時03分

ウホッ

投稿   | 2006年10月13日 (金) 16時39分

アメリカ人にとってカートゥーンが子供の娯楽であるように
日本人にとってアニメは娯楽(年齢問わず)だからな。

日本ではエロアニメはエロ本やAVと同義。

投稿 | 2006年10月13日 (金) 18時01分

なんか最近日本からの質問が多くないか?

(増えてはいないと思うのですが - CC)

投稿 | 2006年10月13日 (金) 18時55分

>なんか最近日本からの質問が多くないか?

確かにそんな気がする。
アメリカ人の日本アニメに対する見方が分かるのが面白いんだから、
ここにコメントしている連中は自粛しろよな。


(今月に入ってからは from Japan のものは1本しかありません。近日中にもうひとつ日本からのものに回答がつく、かもしれないのですが。

9月には「米国にも『サザエさん』や『ドラえもん』級の番組ってあるんですか」の1本しかありません。8月ですと「軍事もののANIMEを観て、日本の現状を懸念する人は米国にいますか」の1本。7月も「落語ANIMEは米国人には伝わっているのですか」の1本のみ、です。

あとはあったのかな。先日のよく分からない方からの質問は除外するとして、日本からの質問が続いているわけではないので、そこのところを誤解されないようお願いします。 - CC)

投稿 | 2006年10月13日 (金) 19時22分

日本のアニメだって初めてキスシーンとか裸が出てきたときには騒動があったわけで、それが30年以上もかけて現在のスタイルにまでなったわけですから、その過程をすっとばしていきなり現在の過激な(W)アニメに触れている海外で騒動は避けられないでしょう。

投稿 ひろりん | 2006年10月14日 (土) 11時09分

>訳注 今年9月、スペインで深夜枠放映されていた『大悪司』が槍玉に挙げられて放映を中止した事件があったという。


ようつべにスペインのニュース映像ありました
ttp://www.youtube.com/watch?v=7WbCRGuK1Zo&eurl=

(おお、これわ - CC)

投稿 | 2006年10月14日 (土) 20時08分

すげーw
でも日本だってエロアニメをTVで放送すりゃ糾弾されるだろ
かなり以前CSで放送したことはあった記憶があるが、地上波ではありえない
地上波だとデビルマンレディくらいが限度かな?

投稿 | 2006年10月14日 (土) 23時12分

今にすれば笑い事だけど、「うる星やつら」放送第一回は抗議の電話がフジテレビにものすごい量かかってきたらしいよ。
夜七時に半裸の女がダーリンだ浮気だなんだて叫ぶつーのは当時としては画期的だった。

投稿 パヴァーヌ | 2006年10月15日 (日) 01時12分

「子供が『浮気』という言葉を覚えて困る」とかね。
フジへの抗議電話は3ヶ月ほどでぱったり止んだそうな。
慣れちゃったんですね。

投稿 ひろりん | 2006年10月15日 (日) 12時12分

オーガス1話なんてベッドシーンからはじまったからなぁ
あれって抗議とか来たんだろうか?

投稿 | 2006年10月15日 (日) 16時30分

>オーガス

日曜の午後2時頃というのは一般人の外出率が最も高くて、一番テレビを見てもらえない時間(だから放送料が安い)だそうです。
それで超時空シリーズはその時間をあえて選んだそうなんですが、後が続かなかったところを見ると、やっぱりダメだったということですかね。

オーガスであのシーンが一般人から抗議が来たという話は聞きませんでしたね。
「特異点」という言葉について学者さんから「用法がおかしい」という新聞投書があったことがアニメ誌には取り上げられてアニメックでは「それ突っ込むところ違う」アニメデアは「一般の方も見てるんですね」とかとか。

投稿 ひろりん | 2006年10月16日 (月) 20時51分

>「特異点」という言葉について学者さんから「用法がおかしい」という新聞投書があった……

中学生の頃、自分は観てなかったけど、オーガスを観ていた友達から「特異点って何だ?」と聞かれ、「ブラックホールの中にあるとかいうやつかい?」と答えたら驚かれました。よくよく聞いたら人間が特異点だとか…… 確かに「用法がおかし」かったですね。後になって、「特異点?物理学ではブラックホールの外に裸の特異点があったら、そこでは物理法則が破綻しているから因果律が無茶苦茶になってしまうかもしれないって言うよ。それとも数学用語の方の特異点の話?」とか言ってやれば良かったと思うような嫌なガキでしたね、我ながら。

まあ、用法云々で言えば「エネルギー」なんてほとんどまともな使い方されたこと無いし、「位相空間」だの「ディラックの海」なんてのも酷かったなぁ。もう少し近くでは「ファインマン・ダイアグラム」でしょうか。となると、次は「ペンローズ・ダイアグラム」辺りが出てくるのかな?

確かにアニメで「それ突っ込むところ違う」んでしょうが、個人的にはせっかく楽しいほら話を見せてくれるのなら既存の学術用語を、それも間違って(わざと?)使うくらいなら、全部それらしい言葉を作ってハッタリかまして欲しいと思います。

関係無い話ですみませんでした……

投稿 Kちゃん | 2006年10月17日 (火) 23時09分

>特異点

新聞に投書した学者さんと同じ解説ありがとうございます。
それは「裸の特異点」で、オーガスの「特異点」はオリジナルな設定であり、別物です。
やはり「用法が違う」のではなく「突っ込むところが違う」という指摘の方が正しいかと。

投稿 ひろりん | 2006年10月18日 (水) 23時13分

>「突っ込むところが違う」という指摘の方が正しいかと

仰る通りですが、その違うところを突っ込むのが好きだったりします。そう言えば「セントラルドグマ」なんかもおかしかったよな、とか。本来の意味での特異点は密度無限大ですから、人間の姿をした裸の特異点があったら、リン・ミンメイ同様、文字通り「歩く最終兵器」になれますね(笑)

ああそうだ、特異点をもう少し精確に書けば「時空の特異点」だから「超時空シリーズ」つながりになるのかな?

お後が宜しい様で……

投稿 Kちゃん | 2006年10月20日 (金) 00時42分

人間が特異点という設定は某女神さまでも使ってたな。

いまの作者はもうあぼーんして桶。

投稿 | 2006年10月20日 (金) 01時09分

自分は日本人だけど、上の記事には賛同出来る。すんなり理解出来る。内容そのものではなく。付けられたコメントを読んでいると、自分の肩身の狭さに困惑する。

投稿 | 2006年10月21日 (土) 09時21分

>自分の肩身の狭さ

自分の興味のある範囲内で知っている知識でしか話ができないこと?

投稿 ブーイングの法則 | 2006年12月10日 (日) 03時15分

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