日本でのANIME人気について
質問
ここ数年で日本でのANIME人気はさらに高まっているのですか。そうだとしたら、わが国でのANIME人気に何か影響を及ぼしているのでしょうか。子どもでない人々を対象にした(HENTAIのことではなくて)テーマ性重視の作品が減っているのは、日本での動向が影響してのものでしょうか。それとも、日本でのANIME人気はそれほどあがっているわけではないのか。
回答
今回の質問にある仮説は間違っていてほしいと思うのですが、申し訳ないことに、今回は私には100%は答え切れないところがあります。とりわけここ数年で日本でのANIME人気がさらに高まっていることは事実だと思います。しかし、どうしてそうなのかは私にはよく分かりません。もっとも、自分なりに推測ならできるのですが。
Matureな(訳注1)ANIMEの人気うんぬんについてですが、ここ数年でドラマ性重視のもの、知的内容のもの、おとな対象のものが日本で実際に減っている様子はありません。この種の番組は数はそのままで、むしろ他の類の番組のほうが増えているように思います。
今ざっと概算したところ、TVでの新作ANIMEの数はここ数年ゆっくりと増加傾向にあります。これはOVAやTVスペシャル、それに映画は外しての概算です。78本の新番組が2002年には日本で流れていました。この数は2003年には93本。この増加傾向は終わらず、2004年には105本、2005年には106本でした。私のほうでざっと調べたところ、今年は156本前後の新番組が登場するようです。
しかしながら、この150本を超える新番組のうち、わが国業者によってお目見えが決まっているのは目下12本しかありません。日本で作られ、放映されるANIMEの数がゆっくりと増えている、ということは、日本ではANIMEへの需要が増加しているということです。全新作のうち、米国でDVD発売されるものは十分の一にも満たないのです。つまり、新作の九割以上は日本国内の視聴者を対象としており、実際に日本国内で視聴されているということです。
ほとんどの番組は米国に輸出されないでいる一方で、ANIME人気は日本では衰える様子はありません。ただ、以上の事実をもってして、米国市場の存在が日本側にあまり影響を及ぼしてはいないと結論付けられるのかというと、皮肉なことにそうは断定できないところがあります。
米国市場でのANIME需要が日本側にあまり影響を及ぼしていないのは本当です。事実、新作の90%は日本より米国には輸出されておらず、つまりは日本国内向けとして作られているのです。そして、それで十分潤っているわけです。仮にANIMEへの需要が日本でも減るようなことがあれば、製作本数も今をうんと下回るはずです。
米国からのANIMEへの需要をうんと意識してANIMEが作られることは今後もなさそうですが、それでも米国でのANIME人気に刺激されて、日本でもANIMEのことが国の最重要文化輸出品として認識されるようになっています。今月の初め、CNNがネット上で日本のソフト・パワーについて特集を組んでいました。日本の文化・芸術の今後の国際的可能性について論じたものです。(訳注2)
ここ数年、日本は知的創造物を産業品の一つとして国主導で後押しし始めています。ANIMEの社会的地位の上昇とともに、日本のファンたちも胸を張り、OTAKUであることを誇りにするようになっています。秋葉原がOTAKUの聖地として注目を集め発展していますし、池袋に現れた通称「乙女ロード」、メイド・カフェの人気、それに『電車男』ブームから窺えるように、日本ではOTAKUが以前よりずっとメジャーになって影響力を増しています。
日本ではANIMEは数十年に渡ってすきま産業な商品という位置に留まっており、アングラなOTAKUか子どもに消費されてきました。しかし、MANGAそれにANIMEの国際的、とりわけ南北アメリカ、ロシア、ヨーロッパ、オーストラリアでの高い人気を受けて、日本では見る目が変わったようです。世界中でファンを集めている今、ANIMEは日本発の文化として誇るべき立派なものと見なされるようになりました。
CNNが言うように、日本は国際社会への政治的・軍事的影響力は極めて小さい国です。日本のポップ・カルチャーは日本からの文化輸出品としては最も名が知られ、需要が最も大きいものです。そのおかげで日本ではANIME産業への関心もゆっくりと高まっているようです。
ANIMEへの関心が高まれば需要も増えるし、とりわけおたく層では需要拡大が期待できます。そしてその結果、もっとたくさんのANIMEがおたく市場に出回るようになるわけです。米国のANIMEファン達はハーレム/ラブコメ/MOEものの氾濫に少々うんざりしている様子ですが、日本では今なお非常に人気があります。それゆえにドラマ性重視の奥の深いものが相対的に少数派になってしまうのです。
高度なテーマ性を備えた作品よりも、ノリの良さが売りのお手軽番組のほうが目立ってしまっているわけですが、といってテーマ性重視のものが減ったのかというと、それは違います。この三年間だけでも、『ジパング』『岩窟王』『モンスター』『GANTZ』『妄想代理人』『アカギ』『蟲師』『ギャラリーフェイク』『ブラックジャック21』『エルゴプラクシー』『よみがえる空』など、重厚でドラマ性が強く、それでいて行き過ぎたファンサーヴィスはなく、本能につけこむような刺激的表現を唐突に挟み込んだりもしない番組の名はいくつも挙げられます。
内容的に高度なANIMEの数が減っているという話は正しくないと思います。ANIMEの本数そのものが以前よりずっと増えているので、こうした作品が埋もれがちになって目立たないのです。
Has Anime Become More Popular in Japan Lately?
訳注1 ANIMEを肯定的に語る際、ジョンはMATUREという形容詞を好んで使う。辞書にあたると「成熟した」という訳がついているが、本エントリではあえて「テーマ性重視の」と訳している。
訳注2 'Soft power' part of balancing act 9月7日に初出。
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コメント
乙女ロードのことまで知っているとは・・・
投稿 | 2006年9月24日 (日) 08時16分
人気があるからアニメ番組が増える・・・さもありなんですね。
最近はアニメ番組が多すぎて、好きだから観ているのか、惰性で観ているのかわからなくなっていますw。
仕事から帰ってきて、『エルフを狩るモノたち』とか『はいぱーポリス』とか『影技』とか観ていた頃が懐かしい・・・。
投稿 さとー | 2006年9月24日 (日) 08時38分
ジョン様は「テーマ性重視の」作品数は相対として数を減らしていないと言われていますが、個人的にはもう少し多くてもいいかなと思います。
『よみがえる空』物語としては古典的かもしれませんが、非常にいい作品だったと思います。
投稿 猫子猫 | 2006年9月24日 (日) 14時11分
最近のアニメ事情には本当にがっかりするところが多い
印象に残ったのはブラックラグーンくらいかな
最近では
たしかにアクションモノになると
それだけコストもかかるし
実際萌え系の売上に比べるとハイコストローリターンなのは事実
会社だって商売だからしかたないとはいえね……
ガングレみたいな「萌え」じゃなくて
「燃え」の作品が見たい(´・ω・`)
もう二度とお目にかかれないのかな……
投稿 いかめし | 2006年9月24日 (日) 15時02分
「よみがえる空」は良かったね!
でもさ、ああいういい作品が深夜帯(うちは東京)で民放でしか
やっていないというのが、なんか悲しくなるんだよ。
NHKとかああいった作品をもっと子供の見れる時間に
やってほしいんだよ。
確かに話は多少難しいかも知れないけど、小学生高学年以上なら
十分分かると思うんだよな。
特に人の生き死にに関係のある話は、命の大切さを
分かりやすく教える教材として学校で見せても
いいくらいの内容だったしね。
結局さ最重要文化輸出品とかいっても、公の認識は
子供や一部のオタクの物なんだよな。
投稿 neko | 2006年9月24日 (日) 15時06分
数が増えれば良いってもんじゃない
事実、クオリティの高い作品など一握りで粗製濫造が続いているわけだし
今のままでは若いアニメーターが育たないからアニメ業界の将来の事を考えるなら
本数を減らして彼らの待遇を改善するのが急務だ。
だが待遇改善など望むべくもなく、本数だけ減らすと
現在のアニメーターが食えなくなってしまうと言う問題も。
投稿 | 2006年9月24日 (日) 15時43分
人気深夜作品で2-3万本、涼宮ハルヒクラスで20万本、ゴールデンタイムに放送されるSEEDクラスで30万本
1枚6000円で元が取れるんでしょうね。それでも半分くらいは、コスト割れなのかな?
全国に数万店あるレンタルDVD店のどのくらいに置かれるかが勝敗の鍵なのかな?
投稿 | 2006年9月24日 (日) 19時15分
ふと思ったんですが地デジが来てDVDもしくは
次世代メディアの売り上げが減りでもしたら
ますますストーリ重視って減ってしまうのでは?
投稿 | 2006年9月24日 (日) 20時24分
>今のままでは若いアニメーターが育たないからアニメ業界の将来の事を考えるなら
>本数を減らして彼らの待遇を改善するのが急務だ。
本数を減らしてというのには同意しますが、アニメーターさんのブログなんかを読むと、単に待遇を改善するのは良くない、という意見もありますね。新人動画の頃から待遇がいいところでは逆に良いアニメーターが育たない、ということもあるそうです。もちろん食べていけないので辞めて行くうまい新人さんもいるそうですが。
ただある程度以上の能力をもったアニメーターでも新人と同じような収入の方が多いということなので、むしろそちらの方の収入向上の方が重要でしょう。能力に見合った収入を得ている人は本当に少ないと思います。
投稿 bigben | 2006年9月24日 (日) 21時12分
やはり夢がない事にはどうにもならない。
漫画家も芸人も歌手もスポーツ選手も、活躍出来ない頃には相当苦しんでる人が多い。
当然それが好きって気持ちはあるだろうけど、最終的に頑張れば何億、何十億という金を稼げる可能性があるから新しい人がポンポン出てくる。
いかに成功した人に金が回るようにシステムを作るか。
修行時代の大変さは漫画家もアニメーターも変わらんだろうに、成功した人の位置が違いすぎる。
投稿 | 2006年9月25日 (月) 04時28分
公称制作費のうちで本当に製作に使われる(アニメーターの給料含む)のは1/10程度で、2割は宣伝費、残りはお偉いさんの給料になるってのは本当じゃろうか。
投稿 男爵 | 2006年9月25日 (月) 07時52分
TV放送に関しては、放送権料やらでTV局と代理店に6~7割は取られる。
ただDVDに関して言えば制作会社が第一に権利を持ってるので、
半分以上は貰えると思うが。
投稿 | 2006年9月25日 (月) 12時36分
ぶっちゃけアニメの制作費が増えたらアニメに金出す会社が減るだろうな。
安く作れてそれなりの効果を上げるからこそ、ここまで発展したわけだし
そう言う常識を業界に定着させたのが誰あろう
日本TVアニメ界の父でもある漫画神なわけだが。
投稿 | 2006年9月25日 (月) 17時08分
正直、なんでこんなに製作本数増えてるのかが謎。
漫画だって少子化や娯楽分散化の波で、売れ行きは落ち込んでるのに、アニメの売上がそんなに増えてるとは思えないんだけどなあ・・・?
普通の番組作るんなら、アニメの方がずっと安くすむのかな?
投稿 関西人X | 2006年9月25日 (月) 20時40分
>制作費
1クール(13話)で1000万円程度だそうだ。
その中から実際に現場で使える費用が200~300万くらい。
投稿 | 2006年9月25日 (月) 22時45分
>>そう言う常識を業界に定着させたのが誰あろう
日本TVアニメ界の父でもある漫画神なわけだが。
確かにその通りだけど、その当時に、海の物とも山の物ともつかないアニメ制作に、スポンサーを付けて普及させた功績の方が100倍も価値があると思いますよ。
付加価値の高い作品、芸術性の高い作品(これは大抵失敗してるみたいだけど・・・)を作成することで、セカンド世代、サード世代が環境の向上を図るべきでしょ。
(もし手塚アトムがTVお目見えしていなくても、いずれは同じことになったであろう・・・ 手塚死去の際に宮崎駿が語ったことばです。ただ、映画よりTVへの移行はもっと緩やかに進んだと思います。
それからアニメ業界=貧乏の図式ができあがったのは『アトム』よりもっと後のことです。虫プロが前例を作ったのではなく、業界の推移に虫プロも巻き込まれたと考えるべきです。次世代の努力の問題ではなかったと思います。 - CC)
投稿 ( ´・ω・`)_且~~ イカガ? | 2006年9月25日 (月) 22時49分
「ガンダムSEED」の売り上げが良かったから
「プラネテス」の制作費に回されたってのをどっかで見たきがする
だから、萌えアニメの売り上げがあるから
マニアック向けの作品やテーマ性重視の作品が
作れるんじゃないかな?
(文芸誌の運営がまさにそれだそうですね。 - マンガ誌の売り上げでジュンブンガクがかろうじて成り立っているとかなんとか。 - CC)
投稿 kanata | 2006年9月26日 (火) 02時55分
アニメ150本中12本は少ないな。漫画はどうなんだろう。米国では年間どれくらい翻訳されてるんでしょうか?個人的に丸尾や日野のようなゴア系ガロ系がもっと認知されるだと思うてます。
投稿 | 2006年9月26日 (火) 03時19分
もっと認知されるべきだと思うてます。
投稿 | 2006年9月26日 (火) 03時20分
ファンサブもDVDのisoごと共有とか、OVAとかDVD特典を堂々と公開とか、やりすぎなところがあるのは確か。
日本人が同じことをハリウッド映画でやったらハリウッドの大資本が動いて著作権法違反で捕まるよ
(ハリウッド産業は国内外を問わず厳しいんです。日本のアニメ界がまねしたら大やけどしかねない。 - CC)
投稿 | 2006年9月27日 (水) 01時53分
まあ、ハリウッドの場合、海外市場での売上が前提の業界ですからね。違法Download系には厳しいと思いますよ。
日本のアニメは基本的に国内での売上が基本となってるので、海外でのファンサブ活動が深刻ではないんでしょうね。まあ、おまけ程度?
実際、その事情があるから、国内のアニメ業界に貢献してない海外の人に厳しくなるのかも。
投稿 | 2006年9月30日 (土) 11時01分