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2006年8月25日 (金)

米国ではSHONENもののほうが受けが良いのはどうして

質問

AskJohnでは、「○○○という作品の権利が北米側業者に買われる/カートゥーン・ネットワーク局で放映される可能性はありますか」という類の質問が何度か採り上げられてきました。その回答のなかで、回答者さまは、「言われている作品はマニア層以外には振り向いてもらえない」とか、「問題の作品はカートゥーン・ネットワーク局の視聴者層にはなじまない」と答えるのが常でした。それから、北米側業者に権利が買われる作品の多くはSHOUNENアクション/冒険ものであるとも回答者さまは言われていました。哲学的内容のものや、いわゆる深いANIMEについては、そういうものが好きなANIMEファンからは需要が期待できても、実際には広くは売れません。一体どうしてSHOUNENものはANIMEファンのあらゆる層に好まれるのでしょうか。それから、カートゥーン・ネットワーク局がSHOUNENものではないANIMEを放映することはいずれあるのでしょうか。

回答

いわゆるSHONENと呼ばれるANIMEが人気と息の長さを保ってきた理由はというと、それは一見単純そうですが、本当はもっと入り組んでいます。簡単に言えば、SHONENものは敷居が低く入りやすい故に人気があるのです。

単純明快なアクション/大冒険、すなわち『ドラゴンボール』『ワンピース』『NARUTO』『幽遊白書』『ハンター×ハンター』『BLEACH』がそうですし、SHONENものの典型的スタイルを取り入れた『犬夜叉』のような番組は、あらゆる年齢、それに男女両方に人気があります。SHONEN大冒険ものでは勇気と自己倫理の大切さが強調されます。責任感とか、清廉さ、チームワーク、忍耐、友情や励まし、それに心身の健やかさ、等。

尾田栄一郎、鳥山明、久保帯人といった人たちは、以上のテーマを意図して自作に組み込んでいるわけではなさそうです。むしろSHONEN系MANGA家たちは、きっと無意識に似たような創作姿勢に行き着くのです。楽しさと興奮と、それから信頼が一体になって冒険物語が生まれるのだ、と。

『ドラゴンボール』『BLEACH』『ワンピース』は誰でもすぐに入り込める作品です。どうしてかというと、明確に性格づけされた登場人物たちが用意されていることに加え、今はさえないでいる者たちが主人公であり、そして神話的原型構造を持った物語であるからです。

ほとんど何も予備知識のない視聴者でも、心優しい戦士・孫悟空にはすぐに感情移入できるし、単細胞だけどこの上なく仲間思いで意志の強い楽天主義者・ルフィについても同様です。一護は頼りがいのある利他主義者、ナルトは陽気な若輩であり、いずれも感情移入しやすい主人公たちです。

SHONENものでは、人間性が複雑で行動動機がしばしば変化するような人物は避けられます。その代わりに、登場人物はたくさん用意されます。たくさんの登場人物にさまざまな性格が割り振られるので、視聴者は思い入れしたり励ましたり嫌ったりする相手を選びやすいわけです。

SHONEN系冒険ANIMEの主人公は、しばしば普通の人間に設定されます。厳密に言うと孫悟空、モンキー・D・ルフィ、渦巻ナルトは通常人ではなくスーパーヒーロー系なのですが、それでも普通の少年・青年として親しみやすいので、視聴者は距離を感じることなく身近な存在に思うわけです。

困難があっても夢に向かって進んでいくSHONENヒーロー姿には共感が集まります。勇気と友情の力とともに、このヒーローたちはあらゆる障害を乗り越えます。ヒーローたちがどう困難と向き合うのかを、視聴者ははらはらししながら追うのです。圧倒的に不利な状況下で主人公たちが伸していくところを私たちは見たくて番組を視聴し続けるわけです。

SHONENがどうして広い層に受け入れられるのかというと、視聴者には馴染み深さを感じさせるからです。勝ち目のない者が自分の目標に向かっていくその姿は、古代からの騎士冒険譚と重なります。究極の目標――それは財宝とか地位――を追って旅していくヒーローの物語は、神話や昔話の基本であり、世界のどの視聴者にとっても馴染み深いものです。

今時のラブコメや、サイバーパンク、スペースオペラものは視聴者を選ぶところがあるのですが、善vs悪とか、普通の男が超常の存在になろうとする基本骨格を持つ物語は、誰にでも入りやすく馴染みやすくて楽しめる物語原型そのものです。ANIMEファンでも重度の方は、いわゆる「深い」、哲学的で複雑かつ挑発的なANIMEをひいきする傾向があります。しかし、没入しやすく感情移入ができて、一時の気晴らしとして楽しめる番組のほうが、何時の時代でもたくさんの視聴者を集めるものです。

カートゥーン・ネットワーク局や、その深夜枠であるアダルト・スイム枠では、SHONENではない『ウィッチハンターロビン』や『妄想代理人』が既に放映されています。しかし、野心的で思考を誘う知的刺激のあるアニメーションに関心のある人にはともかく、そうでないほとんどの人たちには視聴されませんでした。こういう類のものは進歩的ですし流行りでもあるのでしょうが、広い層に好まれファンを集める力はありません。SHONEN系冒険もののほうが視聴者には入りやすいのです。

カートゥーン・ネットワーク局としては、いろいろなジャンルの番組を揃えることで、放映内容が多彩で勢いがあるところを印象付ける方針も悪くはないのですが、商売としては、視聴者をできるだけたくさん集めるようなANIME番組を優先したほうが良いわけです。

Why I Shonen Anime So Popular?

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コメント

いちごは「いちご100%」じゃなくて「Bleach」の主人公の一護でしょう。
いちご100%にはいちごというキャラは出てないと思いますが。

(うーん、ここの翻訳はほかの方にまかせちゃだめのようですね - CC)

投稿: | 2006年8月26日 (土) 21時56分

>>尾田栄一郎、鳥山明、久保帯人といった人たちは、以上のテーマを意図して自作に組み込んでいるわけではなさそうです

少年ジャンプの三大キーワードの「友情、努力、勝利」っていうのは有名ですよね。

まぁ最近はあんまり感じることは少ないですけど。

投稿: | 2006年8月26日 (土) 22時09分

こういう作品の主人公は人気投票で絶対に1位にならないんですよね(笑)。

投稿: お茶妖精 | 2006年8月26日 (土) 23時16分

ジョンは漫画編集者の事については
あまり詳しくないんでしょうかね?

漫画、特にジャンプ系は編集の力が強いので
かなりその考えが入っています。
みんな同じような形になるのもその為で

よく言えば少年マンガの王道をはずさないように
軌道修正しているわけです。


つまり
>>尾田栄一郎、鳥山明、久保帯人といった人たちは
以上のテーマを意図して自作に組み込んでいるわけではなさそうです

彼らは考えていなくても編集が考えているわけですね。

(いや、もっと深層よりにじみ出るもののことを指しているのではないでしょうか。 - CC)

投稿: | 2006年8月27日 (日) 01時32分

前レスさん
その通りですね。
ジャンプ漫画のシナリオは、細かく編集側に矯正されてる事実がすっぽり抜けてる。

(いや、もっと深層よりにじみ出るもののことを指しているのではないでしょうか。フォーマットにあわせて作品を描かせてもDBになれなかった作品のほうが圧倒的に多いことを忘れていますね。 - CC)

投稿: --- | 2006年8月27日 (日) 03時08分

編集による矯正や作者が狙って作っているかいないかってこの件でそんなに重要かな?
ライターとペンシラーが完全分業になってるアメコミとは違う形だけど、日本の漫画も作家一人だけではない集団によって作られる芸術だと思うから、編集は共作者の一人でしかないと思う。
攻殻機動隊の様に、原作とアニメで表現されるテーマとその重さに違いがある例を考えると、少年漫画をアニメ化する際にテーマやキャラクター造詣が原作に近づくように作られている事の方が重要じゃないだろうか?
アニメ製作会社の方でもその点にマーケティング上魅力があると判断し、そこを尊重して意図的に演出していくわけだし。

投稿: rotishin | 2006年8月27日 (日) 08時05分

ゲド戦記の評判どこ見ても糞味噌の酷評で散々だな。宮崎駿さんはよい仕事をしてくれましたよ。ラピュタなんて少年モノの見本だね。世界中の少年がどれだけこんな冒険がしたいと願ったことだろう。ありがとうジブリ、さようならジブリ。

投稿: | 2006年8月27日 (日) 08時38分

>いや、もっと深層よりにじみ出るもののことを指しているのではないでしょうか

ジャンプの指導システムに作家本人の志向が完全にマッチングしているかどうか、あるいはその時々の売れ線の絵が描けるかどうか、程度の違いでしかないと思う。
まあ一番大きいのはキャラの魅力だろうが・・・。
John氏は日本の漫画・アニメに惚れ抜いている上に海を越えてしか情報を手に入れられないから、何でも理想化したがる傾向がある気がする。

>以上のテーマを意図して自作に組み込んでいるわけではなさそうです。むしろSHONEN系MANGA家たちは、きっと無意識に似たような創作姿勢に行き着くのです。

この辺のコメントなんて特にそう。仮に「志向が完全にマッチング」の部分がJohn氏の言う「無意識に」にあたるとしても、その無意識を作ったのは長年そういうマンガを供給し続けてきたジャンプ編集部だよ。そんなマンガを読み続けて自分もその世界に飛び込んだのがジャンプの今の作家たちなんだから。

投稿: | 2006年8月27日 (日) 10時53分

作家達はどういう雑誌かわかっててジャンプで作品を描き続けているので編集部は関係ないでしょう。
細かい違いはあっても方向性は一致しているはずですし。

投稿: Pop | 2006年8月27日 (日) 11時29分

ジャンプは、結構プロット操作してるらしいけどね。編集者が作者本人にビクビクしながら修正を求めたりとか。

 既に上で書かれている人がいらっしゃいますが、

Johnさんが言う事は同意できる部分もあるのですが、やはり情報の伝達が遅い上に量が少ないから理想論や思い込みが入るんですよね。
 完全な作者の意志じゃなく、少なからず紙面の方向性に合わせたがっている人間の意志が入り込んでいるわけだしー、

それと、この人はどうもMANGAを神格化しすぎている様な気がしないんでもないですね。
どうみても勧善懲悪のヒーローものであっても
「神話的原型構造を持った物語」ってのは正論だけど。

投稿: Popee | 2006年8月27日 (日) 13時05分

直接作家に聞いたわけじゃありませんが、
物語の中核をなすテーマは意図し、計算して選ぶものじゃないかしら?

ではどのような意図があったか。
想像ですが「多くの人に読んでほしい」これで間違いないでしょう。
そして読者を引き付ける手っ取り早い方法の一つが
単純明快なアクション、感情移入しやすい主人公、馴染み深い冒険譚
敷居を低くしてファンを集める
これです。

作家自身がこういうお話が好きだからそこに行き着いた
というのもあるのでしょうね。
それを無意識というのであれば
>きっと無意識に似たような創作姿勢に行き着くのです。
となるのでしょうが・・・ちょっと無理があるかな

投稿: Iruka | 2006年8月27日 (日) 15時20分

SHONEN MANGAには(SHOJYO MANGAも同様ですが)ある種のパターンやテーマがあって、それから外れることを編集部の人は嫌います(昔MANGAを描いていたので、その辺りのことはよく知っている。SHOJYOの方でしたが)。
それは、出版社が長年培ってきた「面白いMANGA」の黄金律だからです。
ただ、そういう最大公約数的なMANGAを描けば必ず面白くなるというものではないのが難しいところで、決められたパラダイムを壊すことなく、さらに自らの個性を表現できる作家が常に求められているわけですね(まるで「禅問答」だ)。

尾田栄一郎さんや、岸本斉史さんは、それに成功した作家ということでしょう。

・・・なんだか今さらなことを書いてしまいましたが、まとめてみました。

投稿: さとー | 2006年8月27日 (日) 15時52分

忍空の作者が編集に指示された通りの漫画を描くのが嫌で嫌で仕方なくて
精神を病んで忍空を打ちきって一時廃業したのは有名な話だな

投稿: | 2006年8月27日 (日) 16時10分

ジョン妻=CCの意味が判明、クランリーちえこの頭文字だった。
http://ameblo.jp/akihiko/archive-200512.html

投稿: | 2006年8月27日 (日) 22時37分

Chieko Cranley...

投稿: Aha | 2006年8月27日 (日) 23時06分

>(いや、もっと深層よりにじみ出るもののことを指しているのではないでしょうか。フォーマットにあわせて作品を描かせてもDBになれなかった作品のほうが圧倒的に多いことを忘れていますね。 - CC)

そりゃあそうですよ。
編集は軌道修正するだけで、推進力は漫画家の表現力ですからねw
大きな推進力を持っている漫画家はそうそういないということです。

投稿: | 2006年8月28日 (月) 21時03分

(おまえらきもいんだよ - IPアドレス: 58.98.192.178)

投稿: IPアドレス: 58.98.192.178 | 2006年9月13日 (水) 17時08分

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